院長ブログ
アトピー性皮膚炎を克服した猫ちゃん
2016年10月2日
10月の声を聞いても蒸し暑い日が続いています。
みなさんも、みなさんの愛するワンちゃん、猫ちゃんも、元気にお過ごしですか?
今日は、アトピー性皮膚炎を克服した猫ちゃんの症例をご紹介したいと思います。
来院したのは、長毛ミックスの5歳の女の子。
痒がって、自分で身体中を舐め、せっかくの美人猫さんが
写真のように、足や腹部に酷い脱毛を起こしていました。
アレルギー検査をすると、アトピー性皮膚炎であることが判明。
アトピー性皮膚炎には、スイスのノバルテイス社が販売している
免疫抑制剤のアトピカが有効なので、すぐにお薬を処方したのですが、
困ったことに、この猫ちゃん、お薬が大嫌いだと言うんです(苦笑)。
液体のお薬ですが、なんとか飲ませようとする飼い主さまも、
なんとか逃げようとする猫ちゃんも、ほとほと疲れはててしまったご様子。
そこで、治療方針を再考。
人間のアレルギー治療でも使われる舌下減感作療法に切り替えることにしました。
具体的には、アレルギー検査で、花粉や食物など、92項目を測定し、
陽性反応が出た39品目のエキス液を低濃度に希釈したスプレー液を
米国のスペクトラム社にオーダーメイドで作ってもらう――という方法です。
液体のお薬には拒否反応を示した猫ちゃんも、
スプレーを、1日1回、舌下にスプレーするだけなので、
なんとか、お薬を受け入れてくれました。
そして、治療を開始して6か月後の写真がこちらです。
どうですか?
見事に全身に毛が生えて、フサフサ、ふわふわの
本来の彼女が持つ、かわいらしい姿を取り戻していますよね?
減感作療法は、いわゆる「毒をもって毒を制す」治療法。
長所は、投薬が楽で、薬のような副作用が少ないナチュラルな治療法であることです。
短所は、毎日、根気よく投与を続ける必要があることで、効果に時間がかかること。
そして、稀ではありますが、皮毛は生えても、痒みが残ることがある点です。
また、今回の猫ちゃんには、タイミングが合いませんでしたが、
実は、アトピー性皮膚炎に関しては、
2年前にファイザー製薬が欧米で発売したアボキル錠というお薬が、
日本でも、今年の8月から処方できるようになった――という最新ニュースも。
投薬後、1時間ほどで痒みと赤みを抑える即効性は、
苦しんでいるワンちゃん、猫ちゃんを、即座に楽にしてあげられる朗報です。
それにしても、今回の猫ちゃんの回復ぶりには、目を見張るものがありました。
どこかに、僕の頭髪も、猫ちゃんようにフサフサにしてくれる方法はないものか――。
ちょっと、うらやましく感じてしまいました(笑)。