院長ブログ
危険は床に落ちている!
2016年10月25日
今回は、身近に迫る「誤飲の恐怖」についてです。
来院したのは、生後6か月の日本猫の仔猫ちゃん。
嘔吐が続き、救急の夜間病院で診察してもらったそうですが、
その病院では「異常なし」と、診断されたそう。
でも、次の日も嘔吐が続き、心配した飼い主さまが、当院に駆け込んで来ました。
レントゲン検査とバリウム検査の結果、小腸に異物を発見。
さらに内視鏡検査を行なうと、口から小腸まで続く、1本の黒い糸を確認しました。
口から糸を引っ張りますが動きません。
そこで、緊急手術を決断。
開腹すると、小腸に糸の先が絡まっていました。
腸管を切開し、糸の先を摘出後、再度、口から糸を引っ張ると、
なんと、全長80cmもの糸が出て来ました。
飼い主さまに確認すると、ご自宅にあった縫い糸とのこと。
ついでに(?)去勢手術も行なった上で、
仔猫ちゃんは、4日間の入院で元気に退院して行きました。
その2日後、またもや誤飲で来院したのは、
ワイヤーフォックステリアの2歳の女の子です。
彼女が食べてしまったのは、なんと、お庭の玉砂利!
嘔吐を促す薬で吐かせようとしましたが、石が重くて吐くこともできません。
そこで、日大付属病院の消化器内科で6年のキャリアを積んだ
内視鏡のエキスパートである当院の五十嵐獣医師が、
写真のようなお手製の捕獲網を作成。
内視鏡を使い、胃の内部にある石をキャッチしようと試みましたが、
あまりに石が大きく、3時間格闘するも、胃から出すこともできませんでした。
仕方なく、開腹手術に踏み切った結果、出て来たのが写真の石です。
隣にある目薬の容器と比較しても、大きさにビックリするでしょう?
縫い糸にしても、玉砂利にしても、どのご家庭にも普通にあるものです。
でも、好奇心旺盛なワンちゃん、猫ちゃんにとっては、一転、凶器に変貌することも。
誤飲は、飼い主さまの注意で、防げる事故。
どうか、十分、注意を払ってください。
危険は床に落ちている――ですよ!