院長ブログ
あっかんべーで見つかった小さな腫瘍
2016年11月20日
つい先日まで、残暑に苦しんでいたと思ったら、
あっという間に秋を通り越して、真冬のような日々が訪れてしまいましたね。
みなさまも、ワンちゃん、猫ちゃんも、体調を崩してはいませんか?
さて、2週間ぶりとなった本日、ご紹介するのは、
「舌の奥に、ピンク色の炎症がある」と、連れてこられた
トイプードルの8歳の女の子の症例です。
飼い主さまは、「確かに炎症がある」とおっしゃるのですが、
普通に口の中を見ただけでは、炎症は確認できません。
そこで、口を大きく開けてみると、舌の奥の付け根付近に、
わずか直径3mmほどの小さな小さな炎症があるのに気付きました。
外見はただの炎症にしか見えませんでしたが、
念のため、手術でメスを入れてみると、なんと、その炎症の下に、白く硬い腫瘍が!
腫瘍摘出後、ガン化した細胞が残らないよう、
周辺の一定範囲を電気メスで焼く処置を行ないました。
病理検査の結果は、悪性グレード1。
(【グレード】とは腫瘍の悪性度を現わす単位。
進行度を現わす【ステージ】とは別の判断基準。
4段階に分類され、グレード4が最も悪性度が高い)
発見が早かったことと、広範囲に摘出したことで、
手術後は、きれいなピンク色の舌に戻り、再発の可能性は低いと考えられます。
獣医師の僕ですら、すぐには見つけられないような舌の奥の小さな炎症を
早期発見できたのは、飼い主さまの日々の観察力の賜物でした。
愛犬、愛猫の身体の小さな変化に気付けるのは、まさに飼い主さまだけです。
みなさまも、ご自分の愛する家族の身体を、
今一度、じっくりチェックしてみてはいかがでしょう。