院長ブログ
胆嚢摘出で救われたちいさな命
2016年9月3日
今回ご紹介する症例は、急な吐気で来院した10歳のチワワの男の子です。
ひと目見ただけで、黄疸で目と顔が真っ黄色になっているのがわかりました。
エコー検査をすると、胆石が胆嚢で詰まった胆嚢炎と判明。
7日間、入院してもらい、胆嚢炎用の点滴と投薬で危機は乗り越えました。
それから1か月――。
飼い主さまの「元気バリバリです!」というお言葉を確認した上で、
胆嚢摘出手術を行ないました。
開腹してみると、胆嚢が破裂しており、肝臓への癒着もひどく、
4時間の大手術となってしまいました。
でも、手術の翌日には、ボウルいっぱいのフードをばくばく食べるほどに快復!
飼い主さまも、僕も、ホッとひと安心。
5日後に退院し、今はお家で、元気いっぱい跳ねまわっているそうです。
胆石による胆嚢炎は、小型犬のチワワ、ダックス、ポメラニアンなどに多く、
脂肪過多の食事が原因だと思われます。
7歳を過ぎたら、年に1度は血液検査をし、
ALP,胆汁酸が高ければ、X線、エコー検査をオススメします。
多くの飼い主さまは、「犬は肉が大好き」と、ついついお肉をあげがちですが、
予防には、シニア用の食事や低脂肪のアッサリとした食事がオススメです。
ちなみに写真は、組織検査のため病理検査センターに送るため、
摘出した胆嚢をホルマリン漬にしたものです。
「胆嚢ガンではなく胆嚢炎である」――という検査結果に胸を撫で下ろしました。